(出典:Robert Crumb)
デルタブルース史上屈指のギター・テクニシャン ボー・ウィーヴィル・ジャクソン(Bo Weavil Jackson)
ボー・ウィーヴィル・ジャクソンとは
その生誕は不明で、出生地もアラバマのバーミングハムという説があるだけ
カントリー・ブルースの最初期に録音した一人で、【Sam Batler(サム・バトラー)】名義もある。
変幻リズムとギターテクニックが凄い
曲紹介
「Pistol Blues(1926年)」最初に録音されたと言われている曲。ヴォーカルはボー・ウィーヴィル・ジャクソン本人だが、なんとファルセットのような高い声だろうか。基本的にギターの弾き語りでやっていて、そのリズム感とテクニックは凄い。曲のテンポも本人次第なので、早くなったり遅くなったりするのも面白い。
「You Can’t Keep No Brown(1926年)」最も代表的な曲で、アタマからスライド・ギターを弾きまくっている。特に後半のヴォーカルとギターがユニゾンしているところはカッコいいし、ほとんどロックンロールである。ジャクソン本人に聞いてみないとわからないが、どんな感覚でやっているのだろう?
「Devil And My Brown Blues(1926年)」前2曲はBo Weavil Jackson名義でパラマウントへの録音で、ここからはSam Batler名義でヴォーカリオンへの録音である。
この曲のギターテクニックはなかなか凄まじい。イントロからピードモント・ブルースのようなギターだが、その自由奔放でテクニカルなスタイルは今でもいろんな研究家が分析しているくらいである。
「Poor Boy Blues(1926年)」たくさんのブルースマンが演奏しているスタンダード曲。このサム・バトラーのバージョンが最も早い録音と言われている。これもスライド・ギターがカッコいい。
「Christians Fight On, Your Time Ain’t Long (1926年)」なんとも不気味なスライドギターと音程が合っているかどうか?わからないようなヴォーカルが絡み合って、独特のプリミティブな感じを出している。ギターは膝に置いてラップスティール(ギターを寝かせてハワイアンみたいに弾く)のようだが、こんな曲を作れと言われてもまず出てこないようなある意味凄い曲。しかし歌自体は霊歌だと思われ、そのアンバランスさがまた不思議な感覚を助長してくれる。
ボー・ウィーヴィル・ジャクソンもいろいろと不明なことが多く、未だにあまりよくわかっていない部分が多いが、1926年というたった一年の間に残したその音源から、相当凄いブルースマンであったことがわかる。
カントリー・ブルースの初期に活動していた人で、最初に録音したブルースマンの一人であるが、そのギターテクニックはかなり上手い。ラグタイム的なものからボトルネック奏法まで何でもこなしているような感じで、ロバート・ジョンソンにも影響を与えたと言われている。リズム感も凄くて、一人でやっているとはいえさすがアフリカ系アメリカ人だと思うし、とてもマネは出来そうにない。
残念ながら1926年に11曲ほどの記録しか残っておらず、その後どうなったのか?いつ、どこで死んだのか?依然不明なままである。もっと聴きたかったな・・・。