Rev. F.W. McGhee(フォード・ワシントン・マギー牧師)

(出典:old weird america

カントリー・ゴスペルを主体にエネルギッシュなサーモンを聴かせてくれる

◯ペンテコステ派の説教師でカントリー・ゴスペルを得意とした。
◯エネルギッシュな説教と歌で人気
◯ホーンやギター、ピアノ、パーカッションなどを取り入れた。

Lion of the Tribe of Judah(1927年)」ピアノ伴奏に乗せてのF.W.マギー牧師のヴォーカルと女性コーラスの掛け合いがカッコいい。コルネットかトランペットのようなホーンも入っている。

He Is A Saviour For Me(1927年)」これはノれる曲。2ビートのベース音が効いてるし、段々と盛り上がってきてクラップ(拍手)が鳴り出し、テンポも上がってくるから思わず体が動き出しそうな感じでいい。

With His Stripes We Are Healed(1927年)」最初の2分間はずっと説教のサーモン。後半に曲が始まるが、これがまさにカントリー・ゴスペルといった感じでまた徐々にテンポアップしている。こういうパターンが多いのかも。

The Love Of God(1928年)」歌と説教を繰り返す典型的なサーモンで、説教の文言も会衆のレスポンスも普通にブルージーな歌い方をしているのが、いかにアフリカ系アメリカ人が日常の中に、自然に音楽が密接にあるのかがわかって羨ましくなる。

I’ve Seen The Devil(1930年)」曲のアタマとエンディングに歌が入ってて、あとは全部説教という曲。ただ、この歌の部分がめちゃくちゃカッコいい。本当に1930年の曲!?と思ってしまうような、もうロックである。どっかのパンクバンドがやっててもおかしくないような感じで、この部分だけをスタンザにして普通にいい曲になりそうなんだけどなぁ。

Testifyin’ Meetin’(1930年)」これも歌と説教のブレンド。正直説教に関しては内容が感覚的に理解できない部分ではあるのだが、この音楽的な素晴らしさはなんだろうか?ブルース、ソウル、ロック、そして説教部分なんてほとんどラップである。F.W.マギーの場合はホーンまで入っていて、どう考えても今の音楽のルーツであることがわかる。まさにネタや気付きの宝庫なのだ。さらにいうとこのパワフルなエネルギッシュ感は純粋に凄い。なぜこのあたりの曲をみんな聴こうと思わないのか。不思議である。

Fifty Miles Of Elbow Room(1930年)」最後は個人的にも大好きで最も代表的な曲。ハーバート・バフムというゴスペルソングライターの曲でいろいろとカヴァーされている。カントリーやジャズ系も多い。
この曲は冒頭からマギー牧師と女性のツインリード・ヴォーカルのスタイルで最後まで続くが、この女性がアリゾナ・ドレーンズだという話があって、実はまだハッキリしていない。100年近く昔のレコーディングなので、そういった謎が多いのもこの時代のルーツミュージックの特徴で面白い。

 

F.W.マギーは音楽家である前に牧師なので、そのゴスペルのスタイルは”サーモン”と言われる説教である。その活動は説教がメインとなり、会衆とのコール&レスポンスがたくさんある。上の曲紹介でも書いているが、このへんの会衆とのやり取りなんかも未来のラップを予感させる。

また、その歌から出てくるエネルギーが凄く、アップテンポなクラップに合わせて聞いてると、こっちの体が自然と動いてしまいそうになるくらいパワーを感じる。

しかも実際に曲を聴くとコルネットなどのホーンやギター、ピアノを使っていて、まさしく後のロックンロールやロック、ソウルの原型のようなものが多いことにも驚かされる。また、曲調がカントリーやフォークっぽいものが結構あって、白人ゴスペルとは違うカントリー・ゴスペルといった表現をされる。

1920年代にはアリゾナ・ドレーンと活動を共にして、ミュージシャンとしても結構売れた。

こんなに古い時代のものにもかかわらず、今聞いても色褪せない音楽のセンスはいったいどこから来ているのだろうか。わかっているのは彼らアメリカ人は、こんな演奏を普通にやっている近所の教会へ、幼少期から通っていたということだ。

どこかにも書いたが日本でのこの時期は昭和に入ったとこであって、文化の違いといえども、あまりにもかけ離れてしまっているように思う。あまり言いたくはないが、日本人がどんだけ頑張っても所詮は猿真似に過ぎないのも仕方のないことなのだろう。

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