(出典:Discogs)
サーモンで会衆を鼓舞してラップの原形を作った牧師/ジェームズ・M・ゲイツ(Reverend J.M. Gates)
ジェームズ・M・ゲイツとは
バプテスト教会の牧師で、1926年〜1941年の間に200曲以上の説教や歌(サーモン)などメチャクチャたくさんの録音をした。また、ラップ・ミュージックの祖という呼び声も高い。
曲紹介
「Death’s Black Train is Coming(1926年)」最初の録音と言われている曲だが最も有名でもある。コール&レスポンスのスタイルで聴かせるゴスペルの迫力は圧倒的だ。
「Death Might Be Your Santa Claus(1926年)」これも代表的な曲。前半はずっとクリスマスに関する説教であり、途中から歌に変わる。しかしこのパワーがどこから出てくるのだろうか。
「Dry Bones In The Valley(1926年)」聖書にあるエゼキエルの書に基づく民謡。多くのゴスペル・ミュージシャンがカヴァーしている。お経みたいな説教が迫力あり。
「The End Of The World And Time Will Be No More(1927年)」タイトルが終末思想的だがこれはゴスペルなのか?曲中では「聖者の行進」が使われている。
「A Sure-Enough Soldier(1928年)」よくクワイアのゴスペル映像などを見ると、歌を歌いながら手拍子や足を踏み鳴らしたりしているが、この曲がその原型だという説もある。
「The Woman And The Snake(1930年)」ほとんど説教だが何かに似ている・・・そう〈ラップ〉である。特に女性の言い回しだが、こんなところから将来ラップの誕生へとつながっていったのであろうか?メロディはないが、ルーツ度はかなり高い。
「So Glad I’m Here in Jesus’ Name(1934年)」これぞ賛美歌である。この頃もはやゴスペルシンガーとしても説教者としてもベテランの粋に達しているJ.M.ゲイツ。さらに一緒に歌う会衆とのグッドなコンビネーション。その悟りきった安定感はさすがである。
ジェームズ・M・ゲイツ牧師はそのキャリアで200曲以上も録音を残していて、ここではほんの一部だけを紹介させてもらった。黒人霊歌からゴスペルまで幅広く、説教者としても成功した一人と言われている。
曲中ずっと説教しているものから、会衆と一緒にコール&レスポンスをしたり、キレイなコーラスワークの歌まで、この頃のゴスペルのお手本のような感じだ。また、足踏みや手拍子、ラップ調の説教などその後のブラック・ミュージックへの影響を与えたという意味でもルーツ度はかなり高い貴重な牧師である。