(出典:alchetron)
泣きのスライド・ギターとファルセットのブルースマン サム・コリンズ(Sam Collins)
サム・コリンズとは
ミシシッピ南部出身のカントリー・ブルースマン
泣くようなスライド・ギターとファルセットを使った歌が特徴的
曲紹介
「Yellow Dog Blues(1927年)」サム・コリンズ最初の録音と言われる曲。タイトルの「イエロー・ドッグ・ブルース」はW.C.ハンディが1903年にタトワイラー駅で初めて聞いたブルースを元に作曲したもの。しかしハンディのバージョンとは異なっている。
「The Jailhouse Blues(1927年)」最も有名で代表的な曲で、スライド・ギターとその歌声がかなり泣いているような感じだ。これぞサム・コリンズといった感じでその裏声に近いファルセットも凄い。
「Devil In The Lion’s Den(1927年)」これも代表的な曲として挙げられる。元ネタは聖書にある「ダニエルとライオンの穴」なのであろう。
「I Want To Be Like Jesus In My Heart(1927年)」個人的に好きな曲で、元はアフリカ系アメリカ人の黒人霊歌。ブラインド・レモン・ジェファーソンもやっている。スライド・ギターとユニゾンの歌メロがフィールド・ハラーを想わせる。
「Do That Thing(1927年)」カッコいい。これはロックンロールではないか!?ギター1本で弾き語っているがバンドでやれば普通にロックンロールである。ヴォーカルもいい。なんでこんな曲がもっと評価されないのだろう?不思議である。
「Lonesome Road Blues(1931年)」後期の代表曲。ヴォーカルが急激に上手くなっててソウルフルでメチャクチャいい。まさしくこの曲なんかはデルタ・ブルースではなく、フォーク・ブルースではないだろうか。
「Slow Mama Slow(1931年)」これはデルタっぽい。もちろん南ミシシッピの出身とはいえ、このようなコテコテのブルースはお手の物だろう。リゾネーター・ギターを使っていてなおさら雰囲気が出ている。
サム・コリンズはたくさんの別名を持っている。⇒(Salty Dog Sam、Crying Sam Collins、Jim Foster、Jelly Roll Hunter)など
デルタ・ブルースに入り切らないその独特の”泣き”のスタイルを持っていたが、逆に少し中途半端に(フォーク・ブルースなど)カテゴライズされてしまったために、あまり有名にはならなかった。
しかし彼のパフォーマンスを聴いてもらうとわかると思うが、明らかに過小評価されているのではないだろうか?少なくとも僕はそう感じる。「git-fiddle」と呼ばれる泣きのスライドを用いたリゾネーター・ギターの音とファルセットを駆使したヴォーカルから出されるブルーな叫びは心に突き刺さるのだ。
1924年くらいまではキング・ソロモン・ヒルというブルースマンと一緒に活動しており、その頃にスタイルが完成されたのだろう。
生涯で22曲と録音された音源もあまり多くないが、とにかくたくさんの別名を使い分けていた意図はなんなのか。なんとも不思議なブルースマンである。